ヒアルロン酸は高い保水力を持った美容成分で、肌の潤いを保ち正常なターンオーバーに欠かせない物質です。しかし、一定の年齢から体内のヒアルロン酸は減少し始めます。
ヒアルロン酸が失われると、細胞の生まれ変わりが阻害されてさまざまな肌の不調を招きます。一度失われたヒアルロン酸は、体内での生産量を増やすことができないため、外から補充しなくてはいけません。
この記事では、ヒアルロン酸の肌への効果と、それを活かしたスキンケアの方法やアイテムの性質について解説します。
ヒアルロン酸の肌への効果
ヒアルロン酸が持つスキンケア効果について説明します。
ヒアルロン酸のスキンケア効果
ヒアルロン酸のスキンケア効果は、表皮の細胞に適度な水分を供給することで、ターンオーバーを改善しさまざまな肌トラブルに対処することです。
肌は上から表皮、真皮、皮下組織の三層構造になっていて、細胞が古くなると下の方から新しい細胞が作られ古いものと置き換わっていきます。
これがターンオーバーと呼ばれ、いらなくなった古い細胞は老廃物として身体の外に排出されます。
しかし、肌細胞に十分な水分が維持できないと、肌細胞の生まれ変わりが阻害され、老廃物となった古い細胞がいつまでも排出されずに表面にとどまってしまいます。
そのために、メラニンを含んだ細胞が表皮に残ってしみや黒ずみの原因となり、乾燥肌や小ジワなどあらゆる肌トラブルを引き起こす原因となります。
また、肌の真皮層でコラーゲンなどと結びついたヒアルロン酸は、筋肉を補強するネットの役割も担っています。ヒアルロン酸の量が減るとこのネットの強度が落ちるため、顔にたるみやくぼみができやすくなります。
ヒアルロン酸をスキンケアに用いるメリットは、肌細胞の水不足を改善し、正常なターンオーバーを回復して、真皮層のネット構造が強化されるため、シミ、シワ解消や表情筋の補強によるたるみ改善を期待できることです。
保湿力の高い成分を使ってケアすることで、表皮組織の健康維持につなげることができるからです。
ヒアルロン酸の水分保持効果
ヒアルロン酸は非常に高い保水力を持っています。例えば1gのヒアルロン酸で、約6Lの水を保持できるともいわれているほどです。
この非常に高い保水効果によって、ヒアルロン酸は人体の皮膚だけでなく、関節の軟骨、目の水晶体などの器官が正常に働くために欠かせない成分となっています。
ヒアルロン酸は皮膚の三層構造の中で、真ん中の真皮層に存在します。
ここではコラーゲンやエラスチン、線維芽細胞などとヒアルロン酸が結びつきあうことで、細胞の正常な生まれ変わりを維持し、肌の弾力を保っています。
弾力を生むためにも新しい細胞の生産のためにも、正常な水分量が保たれていることが重要です。真皮層の中でヒアルロン酸が大量の水分を蓄えているおかげで、ターンオーバーや肌の健康維持が可能になっているといえます。
毛穴の開き、黒ずみ改善効果
ヒアルロン酸によるスキンケアでは、毛穴の開きや黒ずみを改善に導きます。毛穴がひらいたり、角栓ができて黒ずみが目立ったりしてしまうのは、表皮層のターンオーバーが阻害された結果老廃物の排出がうまくいかなくなっていることが原因の一つです。
ターンオーバーがうまくいかなくなるのは、真皮層の水分が少なくなることと関係します。真皮層に十分な水分があればつぎつぎに新しい細胞が生まれて古い細胞は自然と表皮から剥がれ落ちていきます。
水分が足りなくなれば新しい細胞も作られにくくなり、老廃物が表皮に残りやすくなってしまいます。
ヒアルロン酸が十分肌に補充されていれば、ターンオーバーのサイクルが正常化されます。そして、古い細胞が毛穴に詰まって黒ずんだりニキビになったりすることが防げます。
ヒアルロン酸を肌に補給する理由
ヒアルロン酸は、20代をピークにその量は減っていきますが、30代ごろまでは体内の総量が維持されるといわれています。しかしその後、45歳頃を目安に急激に減少が始まり、以降自然に量が増えることは無いとされます。
もともとヒアルロン酸を含むムコ多糖という成分は、人の体内で生成されています。しかし、年齢を重ねるとともに細胞を新しく作る力が弱くなり、筋肉や骨の密度が下がります。これにともなって、ヒアルロン酸を作り出す力も徐々に弱くなっていきます。
そのために、肌の健康状態を保つためのヒアルロン酸補充が重要になります。放っておくとどんどん少なくなるヒアルロン酸をそのままにしておけば、細胞の代謝が乱れシワが目立ったり頬が垂れ下がったりしてしまうからです。
ヒアルロン酸のスキンケアアイテムについて
化粧水や美容液によって肌にヒアルロン酸を塗布すると、肌の一番上の組織である角質層に水分を補給できます。
角質層の保湿によって、乾燥を防ぎ、古い細胞などの老廃物の排出が促されます。日常的なスキンケアアイテム別に、ヒアルロン酸が発揮する効果を見ていきましょう。
ヒアルロン酸化粧水の効果
ヒアルロン酸化粧水のスキンケア効果は、表皮に水分の膜を張ることです。表皮は紫外線や熱、空気などの刺激によって乾燥しやすく、乾燥することで肌荒れやシミ、シワを引き起こしてしまいます。
化粧水を使って表皮をヒアルロン酸で包み込むと、ターンオーバーに必要なだけの水分を表皮にとどめることが可能になります。
また、表皮を水分でカバーすることで、乾燥によって起こる過剰な皮脂の分泌も予防できます。皮脂は表皮の乾燥を察知して、これ以上の水分蒸発を防ぐために分泌されるものだからです。
したがって、ヒアルロン酸化粧水は乾燥肌やオイリー肌、混合肌などさまざまな肌タイプに利用可能な汎用性の高いスキンケアアイテムといえます。
ヒアルロン酸美容液の効果
ヒアルロン酸美容液は、先に使用した化粧水の効果を高めるものと、化粧水より先に塗りこむことで化粧水の浸透力を高める導入型美容液の2種類があります。
また、毎日のケアに利用できるものや、肌荒れが気になるときに集中的にケアできる高性能なアイテムまで用途もさまざまです。
導入型美容液は、コラーゲンやビタミンCなどとともに肌になじませることで、化粧水に含まれるヒアルロン酸が表皮にしみ込み安くなる構造のものがあります。
スペシャルケアに使うタイプの美容液には、針美容液といって極細の針を通じて角質層の奥の方まで注入し、より高い効果を発揮させるものなど高性能な製品の開発が進んでいます。
このように、ヒアルロン酸配合の美容液には使い方や目的によって種類が豊富なため、自分の肌悩みにぴったりなアイテムを選ぶことが重要です。
ヒアルロン酸クリームの効果
化粧水や美容液だけでも保湿ケアはできますが、クリームを併用することでさらに効果を高めることにつながります。
クリームは、化粧水などで補った水分や保湿成分が蒸発などで失われないよう、保護する力があるからです。
ヒアルロン酸配合クリームは油脂を含んだ物や、肌に馴染むとオイルに変わる性質を持った物などさまざま質感のアイテムが流通しています。
乾燥が特にひどかったり、日焼け後のケアをしたい場合に向いています。肌質に合わせて好みの手触りのものや、配合されている成分をチェックし最適なものを探してください。
ヒアルロン酸は注入治療がおすすめ
ヒアルロン酸を含んだスキンケアアイテムだけでは、肌質改善や保湿ケアに不十分という考え方もあります。
スキンケアアイテムに使用されているヒアルロン酸は分子が大きく、真皮層にまで届きにくいからです。
そのために、表皮の水分を補給する効果は期待できても、肝心の真皮まで水分を届ける力が弱く、肌トラブルの根本的な解決にはならないという意見もあります。
ただ、表皮を水分で覆って乾燥や過剰な皮脂から肌を守る効果はある程度期待できます。あくまで、持続時間が短く根本的な肌質改善には向かないということです。
ヒアルロン酸注射で効果的なケアを
ターンオーバーを正常化するなど、弱った肌を根幹から治療するには、ヒアルロン酸注射のように肌の奥まで成分を届ける施術も利用することがよいとされています。
真皮層で失われたヒアルロン酸を注射で補充することで、肌細胞の新陳代謝改善を期待できます。
真皮層が健康な状態となり、新しい細胞を順調に生産できるようになった後で、化粧水、美容液を用いたケアを行うのが理想的です。真皮層の機能が改善された後、表皮の水分も調整できれば、皮膚組織内部の下から上に向かった健康維持の流れが正常化するからです。
クリニックでヒアルロン酸注射の治療を受ければ、乾燥や毛穴の広がり、シミやシワなど肌悩みに合わせて多様なヒアルロン酸製剤の中から最適なものを選んでもらえます。
安全な治療法でしっかりした改善効果を得たい方は、クリニックの施術とヒアルロン酸を用いたスキンケアの併用がおすすめです。
まとめ
ヒアルロン酸は肌を始めとした体内の水分を保持し、体液の巡回や新陳代謝に欠かせない成分です。
非常に高い保水力をもっている一方で、一度減少し始めると自然に回復させることができない性質があります。
そこで、化粧水や美容液、クリームといったアイテムを使って肌にヒアルロン酸を補填することが重要になります。とはいえ基礎化粧品でヒアルロン酸が浸透できるのは表皮部分に留まります。
今泉スキンクリニックでは、患者さん一人ひとりにとって最高な肌の状態を作り出すことを目指し、丁寧なカウンセリングと的確な施術を心がけています。
基礎化粧品によるケアだけで改善しづらい肌悩みに対し、効果のある治療法を探すお手伝いをします。肌トラブル改善にヒアルロン酸治療を検討している方は、ぜひお気軽にご相談ください。