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ヒアルロン酸の種類はいくつあるのか?メーカーごとの製剤について比較

ヒアルロン酸は、年齢肌の治療や鼻や唇の形を成形する目的などに利用される美容成分です。

多くの目的に適用できるため、種類も多く注射する場所ごとに最適な製剤の性質も異なっています。必要な場所に最適な種類のヒアルロン酸を使わなくては、見た目がぼこぼこしたり術後の違和感の原因になったりします。

この記事では、ヒアルロン酸の種類や種類ごとの特徴について比較しながら解説します。美容治療にどのヒアルロン酸を使うのかの参考にしてください。

ヒアルロン酸の種類について

ヒアルロン酸 種類

まずはヒアルロン酸の特徴や、違いを作る要因について解説します。

ヒアルロン酸とは

ヒアルロン酸は、細胞の中の水分や体液の量を維持するムコ多糖という物質の一種です。ムコ多糖はヒアルロン酸以外にもコンドロイチン硫酸やヘパラン硫酸などの種類があり、これらがタンパク質と結合した状態で存在するものをムコ多糖類と呼びます。

ヒアルロン酸のようなムコ多糖はタンパク質と結合していることに大きな意味があります。水分の保持や血流改善に大きな力を発揮するからです。

ヒアルロン酸は美容治療に使われる注射や、化粧品やスキンケア商品として生成されます。そのほか、経口摂取できるサプリメント、食品に配合されるものまでさまざまな形状のものがあります。

つまり、ムコ多糖であるヒアルロン酸がどんな状態で他のどんな物質と結合しているかによって、さまざまな種類にわかれるといえます。

ヒアルロン酸製剤の違いを作る要因

化粧品や食品に加工されるヒアルロン酸の種類ごとの違いは、硬さや濃度、複数の種類をブレンドしているかによって決まります。

硬さの違いを生む要素として重要なのが、ヒアルロン酸を形成している分子の大きさです。一般的に、分子が大きければ硬くどろっとした質感になり、水に溶けにくくだまになりやすい性質を持ちます。

反対に分子を極限まで小さくすることで、柔らかくさらっとした質感が生まれ、水に溶けやすく肌に浸透しやすくなるのがヒアルロン酸の特徴です。

厚生労働省が認可しているヒアルロン酸製剤

ヒアルロン酸は、美容治療を目的として生成されているものだけでもかなり多くの種類があります。

そのため、中には施術後に深刻な副作用を発症するものもあり、厚生労働省も治療を受ける前の確認や医師の説明に対し注意喚起をしています。

日本国内で流通している美容治療用ヒアルロン酸で、厚生労働省から認可を受けているものには、アラガン社のジュビダームビスタシリーズがあります。

ジュビダームビスタシリーズは世界のヒアルロン酸シェア40%を占めており、安全性を重視するクリニックの多くで採用されています。

ジュビダームビスタは、銘柄ごとにアレルギー発生率が非常に低かったり、質感がなめらかで肌になじみやすかったりするという特徴があるため、幅広い治療に利用できることが大きな特徴です。

ヒアルロン酸の硬さの種類

ヒアルロン酸 種類

ヒアルロン酸の硬さはメーカーによっても異なりますが、概ね4つのグレードに分けることができます。

  • 非常に硬いもの
  • やや硬いもの
  • やや柔らかいもの
  • 非常に柔らかいもの

硬さの違いを出すために、多くの研究機関で分子の大きさを変えたり、架橋と呼ばれる添加剤の種類や量を調整するなどの工夫が行われています。

また、顔のどの部位に施術するかによって、どの程度の硬さのヒアルロン酸製剤を選ぶかも異なります。クリニックの医師によって判断される場合もあるため、事前に相談しておくことをおすすめします。

ヒアルロン酸の製品別の特徴比較

ヒアルロン酸 種類

2023年現在、日本国内のクリニックで使用されているヒアルロン酸製剤について、主なメーカー5社のシリーズを取り上げました。それぞれの特徴を解説し比較します。

ジュビダームビスタ

厚生労働省に認可されたヒアルロン酸製剤で、高い保湿力を持つことが特徴です。

分子同士が網目状に結合する独自のバイクロス製法によって、表皮の中に長く留まりつつ分解されづらい性質を持っています。

硬さの種類は最も硬いボリューマXCから、比較的柔らかいボルベラXCまで5種類が製造されています。

レスチレン

最も早い時期からヒアルロン酸製剤の製造を行っているスウェーデン、ガルデルマ社の美容整形用ヒアルロン酸です。

アレルギーのリスクを減らすため、非動物性ヒアルロン酸製剤の開発に1996年から取り組んできました。

分子の大きさを均一にしたことで、注入した場所に安定しやすく、しわや窪みの改善に向いているヒアルロン酸製剤です。

ベロテロ

ベロテロも、レスチレンと同時期から流通している比較的歴史の長いヒアルロン酸製剤です。

米国食品医薬品局から認可を受けており、多重高密度マトリクという特許取得済み製法でヒアルロン酸製剤を製造しています。

この製法によって、高い弾力性を出すことに成功し、周囲への分散や吸収が遅くなり効果が長続きすることが特徴です。

マイリー

特許取得済み製法のオキシフリー製法によって、添加剤を減らしても弾力性を保つことに成功したヒアルロン酸製剤です。

通常、弾力が低いヒアルロン酸は施術箇所に留まりにくく効果が持続しづらい特徴があります。マイリーは弾力性と適度な柔らかさを持つヒアルロン酸のため、肌に馴染みやすく高い形成力が期待できます。

注入箇所の形を維持しやすいことに加えて、顔の筋肉を支える支持靭帯を保護することで、高いリフトアップ効果が期待できます。

クレヴィエル

韓国の高級化粧品メーカーのアモーレパシフィック社とエストラ社が共同で開発したヒアルロン酸製剤です。

ヒアルロン酸の濃度と密度が共に高く、鼻筋や顎など骨格の目立つ辺りの治療によく用いられています。

また、製剤の中に麻薬成分が配合されているため、注射するときの痛みを和らげられることが特徴的です。

部位ごとに使用されるヒアルロン酸の種類と量

ヒアルロン酸 種類

顔の部位や治療目的別に使用されるヒアルロン酸の硬さや量について解説します。

額のシワ改善

額にできたシワを目立たなくするための施術には、やや硬めのヒアルロン酸製剤を1cc程度注入します。

シワ改善にヒアルロン酸を利用することで、ボトックス注射に比べて硬さや違和感が出にくいというメリットを得られます。

額に丸みを出す治療

額の凹凸を解消し、丸みを出すための治療は、患者さんの額の状態によってヒアルロン酸の必要量がかなり変化します。

概ね硬めのヒアルロン酸を使用し、少ない場合なら2cc、多いときは5ccほど施術されることもあります。

注入する量が少ないと、かえってデコボコが目立ってしまうため、ある程度量が必要となる治療方法です。

ほうれい線治療

ほうれい線の治療には、やや硬めのヒアルロン酸製剤を1cc~2ccを目安に使用します。

ほうれい線ができる辺りは、顔の中でもよく動く部位です。そのため、しわができやすくなっています。治療には適度に硬さのある製剤を比較的多めに施術します。

ただ、ほうれい線に注射したヒアルロン酸は他の部分よりも吸収が早く、施術の効果が現れにくいともいわれています。

したがって、ヒアルロン酸注射と並行して糸リフトや高周波によるライトニングなどが行われる場合もあります。

鼻翼の形の修正

鼻翼の形を整えるための治療には、硬めのヒアルロン酸を1cc程度施術します。

鼻や目の周辺に対するヒアルロン酸注入は、他の部位よりもリスクが大きいとされます。特に鼻の付近は、塞栓ができ失明する危険があります。

そのため、クリニックによっては鼻翼整形のヒアルロン酸注射をおこなっていません。

眉間のへこみ改善

眉間に対するヒアルロン酸治療も、鼻翼と同様に失明のリスクがあるためクリニックによっては断られる場合があります。

施術するとしたら、やや柔らかいヒアルロン酸を1cc程度注射するのが目安です。へこみの状態によってはヒアルロン酸ではなくボトックス注射を勧められるかもしれません。事前カウンセリングでよく確認する必要があります。

目の下のくぼみ改善

目の下は皮膚が薄く、注入したヒアルロン酸が青白く見えて顔の印象が変わる危険性を伴います。

そのため、目の下のくぼみ改善には、柔らかいヒアルロン酸をできるだけ少量ずつ施術します。

目安としては0.5~0.8cc程度で、1cc以上注射することはあまりありません。

種類別ヒアルロン酸の値段の比較

ヒアルロン酸 種類

ヒアルロン酸を使った美容治療の値段は、ヒアルロン酸の注入量によって変化します。

ここでは、先に紹介した5つの銘柄について1cc辺りの値段を基準に見てみましょう。

ジュビダームビスタウルトラXC 1cc 30,000円~40,000円 ウルトラプラスXC 30,000円~40,000 ボルベラXC 1cc 45,000円 ボリフトXC 1cc 60,000円~70,000円 ボラックスXC 1cc 72,800円 ボリュームXC 1cc 60,000円~70,000円
レスチレンリド 11,000円~30,000 リドリフト 400,00円~50,000円
ベロテロソフト 20,000円~50,000円 ハイドロ 60,000円~10,000円
マイリーextreme 90,000円~10,000円 volume 90,000円~10,000円 Define 90,000円~10,000円 Precise 90,000円~10,000円
クレヴィエル50,000円~60,000

以上の料金はあくまで目安です。クリニックによって、事前の診断やアフターフォローも施術の費用として同時に請求される場合があるからです。

したがって、同じメーカーの同じ製剤を使っても、施術を受ける場所ごとに細かく料金が変化することに注意しなくてはいけません。

まとめ

ヒアルロン酸は体内で水分保持や血流の維持に必要な成分であり、美容治療以外にもさまざまな目的で利用されています。

世界中のメーカーで製造される美容治療用ヒアルロン酸製剤には、それぞれ硬さや成形部分の保持効果など特徴の違いがあります。

適切な施術のためには、患者さんの肌の状態をよく考え、どのようなデザインを希望するのかを聞き取りすることが重要です。

今泉スキンクリニックでは、その人本来の美しさを実現するために、一人ひとりに合った最適な施術を心がけています。

多種多様なヒアルロン酸製剤のどの製品を使うことが理想的なのか迷っている方は、ぜひ気軽に今泉クリニックにご相談ください。