日本の成人男性の3人に1人がなるとされる『薄毛』。年齢を重ねるごとに徐々に進行し、生え際や頭頂部の見た目が気になる方も増えてきます。
最近では、女性の薄毛も増加傾向にあるため、何かよい薄毛対策法はないかと悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
結論から申し上げると、AGAやFAGAなどの脱毛症が原因の場合はセルフケアのみでの改善は難しいですが、原因によっては適切に対処すれば自分で薄毛を改善できる可能性があります。
この記事では、薄毛対策・予防法やクリニックでの治療について、原因ややってはいけない対策とともに紹介します。
薄毛をどうしたらいいかお悩みの方やセルフケア方法が知りたい方、薄毛予防をしたい方はぜひ最後までご覧ください。
薄毛の原因とは
そもそも薄毛とは、髪の量が減って地肌が見えてしまう状態のことです。毛自体が細くなるケースと毛が抜け落ちて減ってしまうケースがあります。
薄毛を改善するには、まずは原因を知っておくことが重要です。
男性ホルモンの影響
薄毛には主に『テストステロン』と『ジヒドロテストステロン(DHT)』という2つの男性ホルモンが深く関係しているといわれています。
テストステロンは男性が健康を維持するために大切なホルモンですが、ジヒドロテストステロンは、『AGA』や『前立腺肥大症』、『前立腺がん』の発症に影響します。
テストステロンが5αリダクターゼという酵素と結合することによって、ジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、毛髪のもととなる毛母細胞の働きを低下させるため、DHTを生成しやすい体質の方は薄毛が進行しやすくなってしまう可能性も。
また、男性ホルモン受容体の感度が高い方も、男性ホルモンの影響で毛乳頭細胞の分裂が抑えられることから、薄毛が進行しやすいといわれています。
皮脂の異常分泌
頭皮の皮脂の異常分泌も薄毛の原因のひとつです。
頭皮は人の体で皮脂腺がもっとも多いため、脂っぽくなりやすい部位ではありますが、皮脂の量が多すぎるとさらに脂っぽくなって薄毛が進行しやすくなってしまいます。
頭皮の皮脂が増加する主な原因は、以下の5つです。
- 偏った食生活
- 睡眠不足
- 運動不足
- 誤った洗髪方法
- 加齢
揚げ物や肉類などの脂質が多い食べ物を好んで食べている場合や、皮膚を健やかに保つビタミンB群などの栄養素が不足している場合は、皮脂が過剰に分泌される可能性があります。
また、睡眠不足や運動不足などの生活習慣の乱れ、1日に何度も洗髪する、爪を立てて洗うなどの誤った洗髪方法、加齢による頭皮の保水量の減少も頭皮の皮脂が過剰に分泌される原因になるため注意しましょう。
毛細血管の血行不良
頭皮の毛細血管の血行不良も、薄毛の原因になることがあります。
頭皮の毛細血管は、髪を成長させるために毛母細胞へ栄養を届ける役割を担っていますが、頭皮が血行不良を起こしてしまうと、毛母細胞への栄養供給が滞って切れ毛や枝毛が増えたり髪が抜けやすくなったりして、薄毛につながってしまいます。
頭皮の緊張による血行不良
頭皮が緊張すると、頭蓋骨と頭皮の間の血管が圧迫されて頭皮の血行不良が起こり、毛乳頭細胞の活動が低下して薄毛につながることがあります。
頭皮が硬くなって緊張する主な原因は、長時間同じ姿勢をとることや頭皮の乾燥、運動不足、偏った食生活、頭皮の上の方で髪を結ぶ髪型などです。
また、日常的にストレスを感じている場合も頭皮がつっぱって硬くなり、頭皮の血行が悪くなる可能性があります。ストレスによって自律神経が緊張すると、血管が収縮して血流が減少するため、頭皮の血行が悪くなって薄毛の原因となります。
やってはいけない薄毛対策
薄毛を自分流の対処法で改善しようとする方も多いですが、実は頑張れば頑張るほど逆効果になってしまう場合もあるため注意が必要です。
ここでは、やってはいけない薄毛対策を5つ紹介します。
強すぎる頭皮マッサージ
頭皮の血行不良を改善する効果が期待できる頭皮マッサージですが、力が強すぎたり爪を立てたりすると、かえって頭皮を傷つけて薄毛を進行させる可能性があります。
なぜなら、頭皮をこすったり揉んだりする行為は、頭皮の温度を上昇させて皮脂の分泌を促進したり、皮膚を硬く厚くしてしまったりする可能性があるからです。
また、頭皮をブラシで叩くような行為も表皮と頭蓋骨の間にある真皮や皮下脂肪組織、毛細血管、毛母細胞、毛乳頭、毛根、神経などの組織を傷つけたり壊したりして薄毛を進行させる原因になります。
頭皮をたたき続けると、毛根に栄養が届かなくなって抜け毛を促進させてしまうだけでなく、育毛にも悪影響を与える可能性があります。
ヘアカラーで薄毛を隠す
薄毛を隠そうとヘアカラーを頻繁にしていると、頭皮や髪に負担がかかってかえって薄毛を悪化させる可能性があります。
特に頭皮が敏感な方は、ヘアカラーの薬剤がつくとそれが刺激となって『刺激性接触皮膚炎』を引き起こすことも。刺激性接触皮膚炎は頭皮に赤みや痛み、かぶれ、腫れなどの症状が現れ、頭皮のダメージへとつながります。
また、頭皮についたヘアカラーに免疫が過剰反応すると『アレルギー性接触皮膚炎』を引き起こし、頭皮に赤みや腫れが発生する可能性があります。
頭皮のダメージは頭皮環境を乱して発毛しにくい状態を作り出してしまうため、薄毛につながってしまうのです。
白髪を抜く
白髪が目立ってくると気になって抜いてしまう方も多いですが、白髪を抜き続けることで髪が細くなったり毛穴が縮小したりして、最終的には毛根が正常な機能を失って髪が生えてこなくなることがあります。
そもそも白髪の原因は加齢や遺伝的要因、ストレスなどによって色素を作り出すメラノサイトという細胞の働きが鈍ったり死んでしまったりすることです。
今ある白髪を抜いたとしても、その毛穴からは白髪しか生えてこないため、毛穴や毛根を傷めないためにも、白髪を抜くことはおすすめできません。
皮脂の取りすぎ
頭皮の脂っぽさが気になるからと皮脂をすべて取り除いてしまうと、薄毛を進行させる可能性があります。
例えば、洗浄力の強すぎるシャンプーの使用や1日に何度も頭皮を洗う、水圧の強い洗浄器具で頭皮を洗うなどの行為は、皮脂の取りすぎにつながるためおすすめできません。
皮脂は年齢や性別に関係なく存在し、頭皮や全身の肌を乾燥や刺激から守ってくれるものです。抜け毛が気になって皮脂を取りすぎてしまうと、かえって枝毛や切れ毛が増えたり皮脂を過剰に分泌させたりして脱毛を深刻化させてしまいます。
湯シャン
『湯シャン』が薄毛に効果があるという噂を聞いたことがある方もいるかもしれませんが、人によってはかえって頭皮環境を悪化させて薄毛を進行させる可能性があります。
湯シャンとは、シャンプーを使わずにお湯やぬるま湯のみで頭皮と髪を洗うことです。
確かに洗浄力の強すぎるシャンプーの使用は頭皮によくないですが、湯シャンだけでは頭皮の皮脂を洗いきれず、頭皮のトラブルを招く原因になることがあります。
とはいえ、湯シャンそのものが薄毛を進行させるわけではありません。体質によっては湯シャンで頭皮環境が改善されて薄毛の進行を抑えられる場合もあるため、湯シャンが自分に合っているか見極めることが大切です。
自分でできる薄毛対策・予防法
さまざまな薄毛対策をしてみたけれど改善できない、薄毛の治し方が知りたいという方もいるのではないでしょうか。
薄毛が進行する原因は、男性ホルモンの影響やストレスによる頭皮環境の悪化、生活習慣の乱れなどさまざまです。それらの原因に応じて適切な方法でケアすることで、薄毛を予防・改善できる可能性があります。
ここでは、自分で簡単にできる薄毛対策・予防法を3つ紹介します。
生活習慣を整える
薄毛対策・予防には、以下のように生活習慣を整えることが大切です。
- 栄養バランスの取れた食生活
- 適度な運動
- 質のよい睡眠
- ストレスをためない
- 禁煙
食事の内容や睡眠時間、喫煙などの生活習慣は薄毛と密接な関わりがあります。これらを改善することが薄毛の改善や予防には必要不可欠です。
特にAGAは生活習慣の乱れによって進行する可能性が高いため、薄毛対策・予防をしたい男性はタンパク質やビタミンB・C・E、亜鉛などの栄養素を食事からバランスよく摂取し、適度な運動や質のよい睡眠を心がけるなど生活習慣の見直しをしてください。
また、日々の生活の中でストレスをためないよう、趣味を楽しんだり友人とのおしゃべりを楽しんだりなど、自分に合った方法を見つけておきましょう。
正しい方法で洗髪する
誤った方法で髪を洗っていると、頭皮や髪にダメージが蓄積して薄毛が進行してしまうため、薄毛を改善・予防したい場合は洗髪方法の見直しが必要です。
まず、頭皮や髪に刺激の少ない弱酸性のアミノ酸系界面活性剤使用のシャンプーを選びましょう。
次に、正しいシャンプーの手順です。
- 手ぐしもしくはブラシで髪をとかす
- ぬるま湯で頭皮をマッサージしながら予洗いする
- シャンプーを適量取り手をすり合わせて伸ばし、髪全体に少量ずつつけてよく泡立てながら髪を洗う
- シャンプーが頭皮や髪に残らないよう丁寧にすすぐ
- リンスやコンディショナーを髪全体につけてすすぐ
- 洗髪後はドライヤーを15cmほど離したところから当て、同じところに長く熱を当てないように乾かす
頭皮はもともと皮脂の分泌が盛んなため、皮脂や汗、ほこり、フケなどが混ざって雑菌が繁殖して頭皮に炎症を起こすことがあります。髪の成長にも悪影響を与えることもあるため、頭皮は常に清潔に保つよう心がけましょう。
洗髪後は後頭部→側頭部→頭頂部→前頭部の順番でマッサージを行って頭皮の血流を促進するのがおすすめです。
育毛剤や発毛剤を正しく使用する
育毛剤や発毛剤を正しく使用することも、薄毛の対策・予防になります。
育毛剤は今ある髪を育てるためのもの、発毛剤は新たに髪を生やすためのものであるため、自分の目的に合ったものを選ぶようにしましょう。
また、育毛剤や発毛剤を使用する際は、使用方法や回数、用量をよく確認することが大切です。
効果を実感するには継続して使用する必要があるため、育毛剤は最低6か月、発毛剤は2〜3か月以上使ってみてください。
クリニックでの薄毛治療も効果的
セルフケアでは薄毛が改善されない、確実に効果を実感したい場合は、薄毛治療を行っているクリニックを受診することも大切です。
クリニックでは、一人ひとりの薄毛の原因に合わせて以下のような治療を行います。
- 外用薬:ロゲイン(男性用・女性用)、フォリックスFR16、ヴィラルティスVL15など
- 内服薬:ミノキシジル、プロペシア、ザガーロ、パントガール(サプリメント)など
- その他の治療:HARG療法、ヘアフィラー®︎、ステムセルセラム、乳歯歯髄育毛治療など
クリニックでは、男性だけでなく女性の薄毛にも効果のある治療が受けられます。副作用などの心配はありませんが、不安であれば医師に相談し、納得してから治療を受けましょう。
当院の薄毛治療についてはこちらをご覧ください。
まとめ
薄毛は男性ホルモンの影響や生活習慣、ストレスによる頭皮環境の悪化など、さまざまな原因によって起こります。
すぐにできる対策法としては食生活の改善や適度な運動、質のよい睡眠の確保、正しい洗髪、育毛剤や発毛剤の使用などがありますが、セルフケアでは改善できない場合もあるため、原因を知るために一度クリニックを受診してみるとよいでしょう。
今泉スキンクリニックでは、薄毛にお悩みの方に対して最先端の再生医療をはじめ、外用薬や内服薬など多岐にわたる治療の中から一人ひとりに最適な治療をご提案しております。
米国TrichoLABとの提携により、患者様の頭皮と毛髪の状態を正確に診断することができますので、初めて薄毛治療を受ける方はぜひお気軽に今泉スキンクリニックまでご相談ください。