これ、どういう顔だと思いますか?
皮膚科医という職業柄、街中や電車の中でついつい女性の顔を目で追っていることが多い私。
そんななかで美人以上に見惚れてしまうのは、ズバリ “綺麗な顔 ” です。
それは肌が美しく、凛としていて、よくないシワが少ない人のこと。
とはいえ、私はシワ=悪と思っているわけではありません。
シワがあるからこそ魅力的な女性はいるし、逆に手術で取りすぎてしまって
やたらツルツルになって不自然になっている人もたくさんいます。
では、なぜあえて「健康になりたければシワを取りなさい」という本を出すのか。
実は、これまでの診療を通じてお会いしてきた女性たちのエピソードが後押しになっています。
加齢による普通のシワだと思っていたら、なんと疾患のサインだったケース。
年だからしょうがないと諦めていたシワを1本取っただけで、メンタル、健康状態、姿勢、 果てはライフスタイルまで変わってしまったケース。
そして、綺麗な顔をして人生の最期を迎えたいと申し出てきたケースなど。
そう、女性にとっては「たかがシワ、されどシワ」だと気付いたからなのです。
女性が今よりもっと健やかに、
そして明るく前向きに人生を謳歌するためのお手伝いが、
この本を通じて少しでもできれば。
そんな思いを形にしました。
幅広い層の方に読んでいただき、楽しんでいただければ嬉しいです。
大人の女性の「キレイな」顔とは?
女性はいくつになっても「キレイ」でいたいもの。でも年齢を重ねるにつれて肌の質感は変わるし、もちろんシワも出てきます。だけど、つるーんとしたシワ1本ない顔がキレイかというと……そんなことないですよね。
10代や20代の若い頃は、目鼻立ちが整っていることが美人の条件だったかもしれない。でも大人の女性の「キレイ」はもう少し複雑です。
たとえば、テニスプレイヤーの伊達公子さん。
30代後半になって現役復帰を果たし、10代や20代の若いプレイヤーに負けないぐらい、第一線で活躍されています。むしろ、若い女性には出せないようなしなやかさ、健康的な色気を感じるほど。
年齢を意識させない若々しさは、好きなことを思い切りしているからこその充実感から来る、自信の表れなのかもしれません。
歳を重ねるほど、背負ってきた人生が顔や肌に出てしまうのはよく知られた話です。笑顔が多い人生だった人は目尻に笑いジワが刻まれるし、不平不満が多い人は眉間のシワが深くなるでしょう。
適度な運動と正しい食生活を続け日々充実していたなら、肌は年齢を感じさせないぐらい輝いているでしょうし、そうでなければ同年代の女性よりもたるみ、くすんだ肌になっているかもしれません。
目尻に1本や2本のシワがあるのは当然のことだし、笑顔の多い豊かな人生の証になります。
だけど、しかめっ面からできる眉間や額のシワは別。また、健康状態と密接に結びついているシワにも注意が必要です。
あっていいシワ、ないほうがいいシワをまずは見極めることが、大人の女性の最低限のたしなみではないでしょうか。
男の童顔好きは本能?
「まったく、どうして男ってああいう童顔が好きなのかしら」
女性たちのイラだちの声、よく聞こえてきます。
女優さんやタレントさんを見ていても、同性の目で「この人綺麗!」「こんな風になりたい」と憧れる美人さんよりも、男性たちの支持を集めるのは、どちらかというとあまり洗練されていない、でも健康的な若々しさのある童顔、むしろ普通な顔立ちだったりしませんか?
女性にはどうも納得できないこの傾向、実はそこには科学があるのです。昆虫、哺乳類、すべての動物共通で、雄には、無意識に「生殖可能な雌」を求める本能が備わっているんです。
生殖可能とは、つまり、 ① 健康で、 ② しかも若い ことなんですね。
健康を見極めるサインは様々です。顔色やツヤ、表情などとともに、実は無意識に求められるのが「対称性」や「平均性」。
パーツのバランスやサイズなどが平均的な顔を、人は好むようにできています。一部のほくろ美人の例外を除き、ほくろや色むらなども、対称性を崩すものはない方がよいとされています。
さらに重要なサインが「若さ」です。面長な大人顔よりも、丸顔で幼児性のある顔を求める男性が多いのは、そのため。 だからこそ、生殖不可能を示す年齢サインの際たるもの、「シワ」は、男性に受けない。当たり前ですが、そこには子孫を残すための本能、科学があるのです。
もちろん、「好み」には個人差もありますけどね!それが私たち女性の救いです(笑)。
カラダのことを考えた食事とは?
老化の鍵を握る活性酸素ですが、食生活にも注意が必要です。ファストフードやインスタント食品、コンビニフード、そして肉中心の欧米型の食事。これらの食事に多く含まれる脂質は、活性酸素の影響をとても受けやすいんですね。 さらに残留農薬や食品添加物も、活性酸素の影響があるといわれています。
オリゴ糖がわずかしか含まれない「カロリーゼロ」飲料は、一見女性にやさしそうな気がするでしょう?でも実は、人工甘味料は身体の免疫力に影響を与えると言われているんです。 とはいえ、そういった食事をすべて排除するなんて、無理があると思いませんか?農薬を使わないオーガニックの食材だけで生きていくなんて、ほとんどの人には無理があるでしょう?
私だってファストフードで済ませることはありますし、ジャンクなお菓子を食べることもある。
だったら、できることから取り入れればいいんじゃないかと思うのです。
私の提案は、家で使う調味料を少しだけ、ランクアップさせてみるということ。
精製塩じゃなくて粒の粗い天然塩。大量生産じゃなく、卵に少しこだわったマヨネーズ。
添加物を使わないドレッシング。食物酵素が豊富な味噌にもこだわります。油も、サラダ油じゃなくてエクストラバージンのオリーブオイルがオススメです。ヨーグルトもこだわりましょう。乳酸菌を生きたまま腸内に届けられるプロバイオティクスのヨーグルトをチョイスすれば、腸のケアにもなりますから。
少しの気遣いでも、肌や体に与える影響はだいぶ違うはず。それで気持ちがいいと思ったら、他の食材にもこだわればいいんです。
食生活は、ストイックにしすぎると苦しいだけ。
まずは気軽に、ちょっと贅沢な調味料を始めてみませんか?
睡眠とシワの、切っても切れない深い関係
スッキリ起きるためには、睡眠時間は90分の倍数がオススメ。眠りには、周期があるんです。
ノンレム睡眠とレム睡眠の2種類があること、ご存知ですか?レム睡眠とはいわゆる浅い眠りで、体は眠っているけど脳が活発に働いている状態。物音などで目が覚めやすく、脳は活動しているから夢も見ます。それに対してノンレム睡眠は、脳も体も深い眠りで休んでいる状態です。ストレスを除去し、ホルモンを分泌するとても大事な時間なんですね。
もちろん、どちらの睡眠も重要な働ききをするし、これが交互に現れるのが自然な睡眠です。
でも問題なのは、眠りの質が悪いと、思わぬところでシワが深くなるという事実があるんです。
眠りに落ちた直後、3時間の間にノンレム睡眠が集中的に発生し、脳をゆっくり休ませてくれるわけです。そして、この時間帯は成長ホルモンの分泌が盛ん。成長ホルモンにはさまざまな働きがありますが、美肌ホルモンと呼ばれるぐらいですから、ぜひとも毎晩、分泌させたいもの。そのためにも、ノンレム睡眠を最低3時間は確保できるといいですね。
でもスムーズに眠れなかったり、脳が興奮状態にあったりすると、深いノンレム睡眠をしっかりとれない。するとどうなるかというと、睡眠中にかかわらず脳が活発に活動してしまい、眉間や額にくっきりとシワを刻みながら寝てしまうことになるんです。実は、女性のやく60%は寝ている間に眉間にシワを寄せていると言われているんですよ!
毎晩シワを寄せて眠っているとなると、もちろん表情ジワを生み出す危険が。そうならいためにも、質の良い睡眠で脳と体を休ませることが大事。脳だけ疲れているとスムーズな入眠が得られないことが多いので、仕事に追われている人ほど、適度な運動をするといいんです。
質の良い睡眠は、美肌を作る大事な要素。
シワのない肌のためにも、睡眠環境を整えるようにしましょう。
まとめ
みなさんの中には、シワは1本もないほうがとよいと思っていた人もいたのではないでしょうか?全くシワがない顔はかえって不自然に見えてしまいます。今回は、シワにはあっていいシワ、自然に見えるシワがあること。ないほうがいいシワはどのようしてできるのか、いくつかの原因を挙げて説明しました。
シワは加齢によるものだけでなく、日々の表情の動きによってできたり、生活習慣によってできたりなど、様々な原因が関係していることをまずは知っていただきたいと思います。シワの原因を知り、今一度自身の日常生活を見直してみましょう。きっと今よりもっと健やかな女性になるはずです!
次回(後編)もシワができる原因について挙げていきますので、ぜひ見てくださいね。