vol.4「女性ホルモン(エストロゲン)と薄毛の関係」

女性の脱毛症の主な原因の1つに女性ホルモン(エストロゲン)の乱れや低下があるってこと、ご存知でしたか?エストロゲンの働きや薄毛との関係性を理解して心の準備ができれば、不安やストレスも軽減されると思います。では、エストロゲンについてみていきましょう。

女性の毛量のサイクル

まずはエストロゲンの働きからご説明します。エストロゲンは主に妊娠に備えて子宮内にフカフカのベッドを作る役割をしますが、女性らしいふくよかな体作りや肌や髪の毛を健康的に保つ働きもあるのです。
それでは、下の図を見てください。

図:女性のエストロゲンと脱毛の関係

エストロゲンは思春期の初潮を迎えた頃から、急激に量が増えてきます。そして、性成熟期と呼ばれる時期はエストロゲンの分泌が盛んなとき。性成熟期ではちょっとしたエストロゲンの変化が体に影響してきます。
更年期にさしかかってくると思春期の時期とは逆で分泌量が急激に減っていきます。
このように、ライフステージにより「薄毛」になる可能性があるという時期がわかりますね。また、上記以外にもストレスや生活習慣などの影響で減少してしまうこともあるので要注意です。
薄毛になる可能性があるという時期には特に気を配り、育毛効果のある食品を意識して摂取する、栄養バランスの良い食事をとる、なるべくストレスをためないなどの生活習慣の見直しや対策をしておくといいですよ。

エストロゲンの分泌量は20代後半がピーク。30代後半になると徐々に減っていき、更年期になると一気に低下してしまうんです。

妊娠・出産による影響

上の図でもわかるように妊娠・出産にいたっては、妊娠中に増加していたエストロゲンが出産後にはストーンと減ってしまいます。このホルモンバランスの乱れが大きな影響となり抜け毛が一気に増えてしまうのです。
産後の抜け毛の多さにビックリして落ち込まないために、このようなことをよく理解しておくことも大事ですよ。そして、妊娠・出産という一大事を成し遂げ、愛おしい命を大切に育てるという、とても素晴らしいことをしているのですから、周りの人や昔の自分と比較などせず、誇りをもってくださいね。
しかし、ある程度子育てが落ち着いても「薄毛」がなかなか改善されない場合は、他に原因があるかもしれないのでクリニックに相談してみましょう。

産後の抜け毛に備え、栄養・育毛効果のある食品の摂取、ヘアマッサージ、ストレスをためない、などの生活習慣の見直しをしましょうね。

更年期・老年期の薄毛

閉経後エストロゲンは主な役割である妊娠の準備というお仕事が終わるため、急激に減少していきます。この閉経前後の更年期という時期は、悲しいことに避けては通れない誰もが経験するライフサイクルです。

エストロゲンの分泌量が減ってしまうと、髪の毛は潤いが保てなくなり細い髪の毛に置き換わってしまうのです。また、エストロゲンは髪の毛の新陳代謝を促す働きもしています。新陳代謝が低下してしまうとヘアサイクルが乱れ「薄毛」につながっていくこともあるんですよ。薄毛の種類としてはFAGA(女性男性型脱毛症)があげられます。

身体の不調が起こり不快感を抱える更年期に、輪をかけるように抜け毛が急激に増え「薄毛」になってしまったら受けるショックは大きいと思います。
だからこそ更年期前からのホルモンのコントロール対策が必要なのではないかと感じます。完全にホルモンの減少を止めることはできないけれど、減少していくスピードを遅くしていくことは可能です。「薄毛」に限らずエストロゲンの減少スピードを緩やかにすることで更年期の症状を軽減することができます。
更年期が近づき将来的に「薄毛」が心配だと思う方は、医療機関に相談してみましょう。

更年期の時期は、親の介護や子供の独立などにより、自分を取り巻く環境が大きく変わる時期でもあります。悩みやストレスを抱え込まないようしましょう。

まとめ

「薄毛」の原因は何?と考えた時、多くの方は『男性ホルモン』のしわざ!?と思うかもしれません。確かにAGAでは男性ホルモンの影響が大きくありますし、FAGAでも少なからず男性ホルモンの影響を受けてはいます。けれども、女性の「薄毛」「抜け毛」には、実はエストロゲンの減少が大きく関わっていたのです。その事実に「えー!そうだったのね」と驚いた方もいらっしゃったのではないでしょうか。

脱毛症の原因や種類を思い込みだけで判断し、自己流の改善方法を試すことは「薄毛」を悪化させてしまう可能性があります。
ですから、私は医師として医療機関の受診をお勧めします。
女性のみなさんには、いつまでも素敵で笑顔の絶えない、充実した人生を送って頂きたいと願います。