薄毛や抜け毛は、男性だけでなく女性にも多い髪の毛のお悩みですが、医療機関に相談する方は少なく、多くの方が年齢のせいだと諦めてしまっているのが現状です。
また、ストレスが多く生活習慣が不規則になりがちな現代では、年齢が若くてもこれらの症状に悩んでいる方も少なくありません。
薄毛や抜け毛のお悩みは、年齢が若いほど人に相談しにくいものです。しかし対処せずにそのまま放置してしまうと時間とともに症状が進行してしまうため、早期に専門のクリニックを受診し、原因を特定したうえで適切な治療を受けるようにしましょう。
薄毛・抜け毛の症状と原因
お風呂に入っているときや床の掃除をしたとき、朝起きて枕を見たときなどに抜け毛の量が多いと感じることはありませんか?
薄毛や抜け毛の原因にはさまざまなものがあり、遺伝や生活習慣、ストレス、ホルモンバランスの乱れなどによって起こることがあります。
改善するには薄毛や抜け毛の症状、原因を知り、それに合わせた対策を行うことが大切です。
AGA(男性型脱毛症)
AGAとは『Androgenetic Alopecia』の略で、男性ホルモン型脱毛症(男性型脱毛症)のことです。成人男性特有の進行性の脱毛症で、生え際や頭頂部の毛髪が薄くなったりするのが特徴です。
薄毛が進行する原因にはさまざまなものがあり、加齢やストレス、食生活、喫煙習慣、運動不足なども関係していると考えられています。
AGAの代表的な原因として挙げられるのは、男性ホルモンの一種である『DHT(ジヒドロテストステロン)』です。
DHTは、同じく男性ホルモンの『テストステロン』と、『5αリダクターゼ』という酵素が結合して生成されます。
生成されたDHTが髪に脱毛指令を出し、成長サイクルを乱した結果、成長サイクルの乱れた髪は十分な成長ができずに抜けるようになってしまい、生えてきても細く抜けやすい毛しか育たなくなるため、薄毛へとつながってしまいます。
また、遺伝もAGAの代表的な原因のひとつです。
AGAの正式名称であるAndrogenetic AlopeciaのAndrogenは『男性ホルモン』、geneticは『遺伝』という意味をもっています。このことからもわかる通り、AGAには遺伝的要因が強く関係しているといえるでしょう。
なお、薄毛の原因の約80%は遺伝によるものだという報告もあります。ホルモン受容体の数は遺伝によって決まっていて、その数が多ければ多いほどAGAの発症リスクが高まることから、それと同時に薄毛が遺伝する可能性も高まってしまいます。
AGAは20代以降の男性に多くみられるのが特徴です。日本人男性の3人に1人がAGAという調査結果もあるほど、多くの男性が発症する可能性があります。
進行するペースはそれほど早くありませんが、治療せずに放置すると進行してしまうため、症状の現れ方をみて原因を特定し、早めに治療を受けることが大切です。
FAGA(女性男性型脱毛症)
最近注目されているFAGA(女性男性型脱毛症)は、AGAの女性版のようなイメージで、『びまん性脱毛症』とも呼ばれます。
『びまん』とは、広範囲に広がっていくという意味で、その名のとおり髪の毛全体が薄くなっていく脱毛症のことをいいます。
閉経に伴って女性ホルモンの一種である『エストロゲン』が急激に減少する40代後半以降の女性に起こりやすい症状ですが、20代などの若い女性でも発症する可能性もあるため注意が必要です。
分け目が目立つ、ボリュームが減る、髪の毛が細くなる、頭皮が透けて見えるといった症状は、典型的なFAGAの特徴です。頭全体の毛が徐々に薄くなっていくため、気づいたときには症状がかなり進行してしまっているケースもあります。
FAGAの主な原因としては、以下の項目が考えられます。
- 過度のストレス
- 極端なダイエット、食生活の乱れ
- 産後の体調不良
- 代謝異常
- ホルモンバランスの乱れ
- 貧血
- パーマ・カラーによるダメージ など
FAGAの原因はさまざまです。原因がひとつではなく複数が絡み合っているケースも多いため、すべての原因を取り除くのは難しいことも。
男性のAGAの原因が男性ホルモンの一種であるDHTである一方、女性のFAGAはストレスや加齢による頭皮の血行不良、極端なダイエットや食生活の乱れによる栄養不足などが原因で起こりやすくなります。
そのため、男性のように部分的ではなく頭部全体の毛が薄くなるケースが多いと考えられます。
分娩後脱毛症
分娩後脱毛症とは、出産後に急激に髪の毛が抜けていく脱毛症のことです。
出産後2か月以降にはじまり、半年から1年ほど続きますが、基本的には時間の経過とともに治っていきます。産後に抜け毛が多くなった場合は、この分娩後脱毛症が薄毛の原因かもしれません。
以下は、産後に薄毛となる主な原因です。
- 産後のホルモンバランスの変化
- 産後の生活の変化
妊娠中は、出産準備のため髪の成長に関係するエストロゲンの分泌が活発になります。
それにより、妊娠中は抜け毛が減りますが、出産を終えるとエストロゲンの分泌量がもとに戻り、急激に減少することに。この際、妊娠中に抜けているはずだった髪の毛が一気に抜けるため、抜け毛の量が増えてしまいます。
通常より髪の毛が抜けにくい状態から、普通に抜ける状態への移行に伴う現象のため、半年ほどの期間で治まっていきます。
また、産後は生活リズムが定まらず、睡眠不足、自分の食事がおろそかになるなど育児のストレスがたまることも。これらの要因によって、頭皮の血行不良が起きたり、髪に必要な栄養が不足しがちになってしまいます。
ただし、出産から一年以上経っても薄毛が改善されない場合は、他の病気が原因となっている可能性もあるため、早めに医師に相談することが大切です。
円形脱毛症
『十円ハゲ』と呼ばれるように、髪の毛の一部がごっそり抜け、円形や楕円形のハゲができているのが円形脱毛症の特徴です。突然ごっそりと髪の毛が抜けて、毛が生えていない部分ができてしまった場合は、この円形脱毛症の可能性が考えられます。
円形脱毛症は一か所で起こる単発型、二か所以上で起こる多発型、全部の髪の毛が抜けてしまう全頭型の3つに分類されます。
脱毛部分のサイズもさまざまで、十円玉サイズにとどまらず、頭部全体に広がることもあるでしょう。
円形脱毛症にはさまざまな原因が考えられ、いまだはっきりとわかっているわけではありませんが、『日本皮膚科学会円形脱毛症診療ガイドライン 2010』によると、円形脱毛症の原因としてもっとも有力なのは、『自己免疫疾患』とされています。
自己免疫疾患とは、身体を守る役割をもつ免疫が自分の組織や細胞を異物として認識し、それらを攻撃することによって起こる病気のことです。疲労やストレス、遺伝などが原因だとされています。
自己免疫疾患による円形脱毛症は、髪を生成する細胞が免疫によって攻撃され、髪の毛が一気に抜けてしまうことで起こると考えられています。
また、アトピー素因(アトピー性皮膚炎や気管支喘息、アレルギー性鼻炎など、アトピー性疾患の既往歴)も円形脱毛症の原因のひとつです。
アトピー素因と円形脱毛症の関係ははっきりしていませんが、円形脱毛症の方の40%がアトピー素因をもっている、またはその半数以上の家族にアトピー性素因がみられることから、両者は関係しているといえるでしょう。
ほかには、遺伝も円形脱毛症の原因のひとつだと考えられています。
円形脱毛症を発症した方と親等が近ければ近いほど遺伝する可能性が高くなるとされ、1親等内(自分と前後1世代の親族関係にある父母と子)での発症率は通常の10倍にもなるといわれています。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症とは、その名の通り髪の毛を引っ張ることで引き起こされる脱毛症のことをいいます。
髪を結ぶ女性に多く見られる症状で、引っ張られている部分が抜けることで、生え際や側頭部が薄毛になりやすいのが特徴です。 毎日同じ髪型を続けている方で、薄毛が目立ってきた場合は、牽引性脱毛症の可能性があります。
以下は、牽引性脱毛症の主な原因です。
- 頭皮に負担のかかる髪型を続けている
- ストレスで髪を触る癖がある
牽引性脱毛症は、ポニーテールやお団子、編み込みなどの髪型を長期間している場合や帽子を長時間かぶっている場合など、髪が引っ張られて頭皮に血行不良が起こり、栄養が届きにくくなることが原因で引き起こされます。
髪の毛を引っ張ることや刺激を与えることは、頭皮にとって大きな負担となるため、時には髪型を変えたり意識して髪をいじらないようにしたりなどの対策をとりましょう。
なお、牽引性脱毛症は、健康な髪に力がかかることで抜けるため、毛根の状態や毛自体の太さは正常であることがほとんどです。
抜け毛の状態が細く短くなっている場合や、髪や頭皮の負担となっている行為をやめても毛量が戻らない場合は、『びまん性脱毛症』の可能性もあるため、早めに医師に相談しましょう。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症は、頭皮全体がギトギトと脂っぽくなり、湿ったフケやカサブタが発生するのが特徴です。頭皮が脂っぽくベタベタする、湿ったフケが出る、頭皮がかゆい、におうなどの症状がある場合、脂漏性脱毛症の可能性があります。
脂漏性脱毛症の主な原因は、脂漏性皮膚炎です。
脂漏性皮膚炎は、過剰に分泌された皮脂(頭皮を守るための脂)やフケに細菌が繁殖し、頭皮に刺激を与えることで引き起こされ、菌が炎症を起こしたりフケが毛穴を塞いだりすることで薄毛につながってしまいます。
以下は、脂漏性皮膚炎の主な原因です。
- 食生活の乱れ
- ホルモンバランスの乱れによる皮脂の増加
- 洗髪のしすぎ・洗い残し
- カビ(マラセチアという真菌の一種)の繁殖
脂漏性皮膚炎は、食の欧米化や食生活の乱れ、ホルモンバランスの乱れなどによって皮脂の分泌が増加することが原因として考えられます。
また、洗髪時に皮脂をしっかり落とせていない、またはシャンプーのすすぎ残しなどの不適切な洗髪によって、頭皮環境が悪化することも原因のひとつとして挙げられます。
近年では、そのような原因よりもさらに直接的な原因として、『マラセチア』というカビ(真菌)が関係していることがわかってきました。
このマラセチアは誰の皮膚にもいる常在菌の一種で、普段は人の体に害を及ぼすことはありませんが、皮脂や汗などが増えるとそれらをエサにして急激に増殖し、皮膚に炎症を起こすことで薄毛につながると考えられています。
マラセチアによる皮膚の炎症は、顔や首、胸、背中などにも広がって肌トラブルにつながるケースも少なくありません。
ひこう性脱毛症
ひこう性脱毛症は、上述の脂漏性脱毛症と同じく、頭皮環境の悪化が原因で起こる脱毛症です。
脂漏性脱毛症は頭皮が脂っぽくベタベタと湿ったフケが出るのに対し、ひこう性脱毛症は頭皮が乾燥し、乾いたフケが大量に出る、頭皮のかゆみや赤みなどの症状がみられます。
以下は、ひこう性脱毛症の主な原因です。
- 洗髪のしすぎなどの間違ったヘアケア
- ビタミン不足などの食生活の乱れ
- ストレス
- アレルギー
- ホルモンバランスの乱れ
洗浄力の強すぎるシャンプーを使っていたり洗いすぎたりなどの間違ったヘアケアによって、頭皮にとって必要な皮脂まで洗い落としてしまうと、頭皮が乾燥してひこう性脱毛症の原因となります。
また、スタイリング剤のつけ過ぎや洗い残しも、頭皮環境が悪化する原因になることも。
髪の毛は頭皮の血流から栄養を得ているため、頭皮環境が悪化すると髪の栄養補給が妨げられ、健康な髪の毛が育ちにくくなります。
さらに、かさぶた状のフケが毛穴をふさぎ、薄毛の原因になることもあるでしょう。
また、ビタミンA、B1、B2といったビタミンが不足するような食生活も頭皮環境を悪化させ、ひこう性脱毛症を引き起こすと考えられています。
特に油っこいメニューやファーストフード、加工食品などをよく食べる方は、皮脂の過剰分泌を招くことに。それを取り除くために洗浄力の高いシャンプーを使うなど、間違ったヘアケアを行うと、頭皮が乾燥してひこう性脱毛症につながってしまいます。
薄毛になりやすい方の特徴
以下は、薄毛になりやすい方の特徴です。
- 食生活が偏りがち
- 過度なダイエットをしている
- 睡眠時間が短い
- ストレスをためやすい
- 運動の習慣がない
- 整髪料が頭皮につくスタイリングをしている
- タバコやお酒が好き
- 出かける直前にシャンプーをすることが多い
- シャンプーを1日2回以上行う
- 帽子をかぶる時間が長い
- キツく髪を結んでいる時間が長い
これらのチェック項目で当てはまるものがある方は、それによって頭皮の血行不良や頭皮環境の悪化、ホルモンバランスの乱れなどを引き起こし、薄毛になっている可能性があります。
思い当たる習慣を解消することから、まずは薄毛対策を始めてみてください。
薄毛治療(発毛・植毛)を行うべきか育毛対策を行うべきか、薄毛進行度と対策の目的という2つの軸で選択するのがおすすめです。
薄毛・育毛治療の種類
薄毛や抜け毛が気になる方の中には育毛シャンプーや頭皮マッサージ、育毛剤などを使用している方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これらは現状維持や症状の悪化を防ぐことが目的の商品です。進行性の脱毛症の治療にはならないため、毛根が死滅してしまう前にきちんと治療を受けるようにしましょう。
今泉スキンクリニックでは、薄毛や抜け毛の改善・予防のためにさまざまな治療法をご用意いたしております。
治療1「発毛促進剤」などの外用薬による発毛治療
『ロゲイン(男性用・女性用)』や『フォリックスFR16』、『ヴィラルティスVL15』など、ミノキシジルやフェナステリドを配合する発毛促進剤による発毛治療を行います。
ミノキシジルは血管を拡張して血行促進する効果が、フィナステリドは男性のAGAという脱毛症を抑制する効果が期待できる成分です。
ミノキシジルやフェナステリド配合の外用薬は市販されていますが、濃度の高いものは専門クリニックで医師の診察を受けて処方してもらわなければ入手できません。
ただし、頭皮に直接塗布する薬であるため、かゆみや湿疹、発赤などの副作用が出ることがあります。気になる症状が現れた場合は、担当の医師に早めに相談しましょう。
治療2『ロゲイン』や『プロペシア』などの内服薬による発毛治療
ミノキシジルを含む『ロゲイン』やフィナステリドを含む『プロペシア』、プロペシアがさらに進化した『ザ・ガーロ』、女性用の薄毛対策サプリメント『パントガール』などの内服薬による発毛治療を行います。
ただし、ミノキシジルやフィナステリドを含む内服薬は医薬品ということもあり、副作用のリスクに注意が必要です。
ミノキシジルには多毛や血圧低下、フィナステリドには勃起不全(1%未満)や性欲減退(1〜5%未満)などの恐れがあるため、担当の医師に相談し、納得してから使用を決めましょう。
※フィナステリドは、女性が服用するとホルモンバランスを崩して悪影響を及ぼす可能性があり、触れるだけでも成分を吸収してしまうため、使用を禁止されています。特に妊娠中は、体内に入ると男性胎児の生殖器の発達に悪影響が出る可能性もあります。
治療3「幹細胞再生治療(HARG療法・C’rum stem cell HL・ヘアフィラー)」などの薬剤注入による発毛治療
クリニックで行うAGA治療としての幹細胞を用いた再生治療は、独自に調合した幹細胞成長因子を散布することで、体の中にある幹細胞を成長させて発毛を期待する『HARG療法』などの治療を行います。
HARG療法とは、近年AGA治療のひとつとして登場した治療法です。
幹細胞から抽出した150種類以上の成長因子やビタミンB、システインなどを含む『HARGカクテル』と呼ばれる薬剤を頭皮に直接注入することで髪の成長力が高まるため、一定期間の治療を受ければ自然に髪が生えてくるとされています。
今泉スキンクリニックでは、従来のHARG療法に加えて薄毛の状態と頭皮の状態に合わせて注入剤をカスタマイズし、だらだらと治療せず時間と効果を第一に考えてライフスタイルに合わせた治療を行っていきます。
また、治療前後でご納得頂けるよう増毛の状態を測定・専門のラボで解析していくシステムもご用意しております(別途料金)。
詳しくはこちら症状別の薄毛・抜け毛治療法
薄毛・抜け毛治療は、原因に応じた適切な治療を行うことが大切です。
今泉スキンクリニックでは、育毛マッサージや外用薬、内服薬、再生医療など、さまざまな治療を症状や原因に合わせてカスタマイズし、患者様一人ひとりに最適な治療法をご提案いたします。
AGA(男性型脱毛症)
AGA(男性型脱毛症)の治療としては、投薬治療が一般的です。
外用薬もしくは内服薬のみを使用したり、外用薬と内服薬を併用したり、HARG療法を行ったりなど、患者様それぞれの原因や症状に合った治療薬を用いて治療を行います。
なお、AGAの進行パターンは、以下の「ハミルトン・ノーウッド分類」という代表的な分類方法によってレベル1~レベル7(厳密にはレベル9まで)に分類されます。
分類 | 症状 |
---|---|
I型 | AGAの初期レベル。生え際が若干後退しはじめ、M字型になりはじめる。 |
II型 | I型よりも生え際の薄毛が進行している状態。 |
III型 | 生え際の薄毛が進行してよりM字が深くなった状態。頭頂部の髪のボリュームも減少している。 |
IV型 | III型よりもさらに生え際が後退し、頭頂部にO字の形が見え始める。 |
V型 | IV型がさらに進行し、生え際のM字が頭頂部に達するほどになり、O字の範囲も広くなっている。 |
VI型 | 生え際のM字とO字がつながり、側頭部と後頭部の毛だけが残っている。 |
VII型 | VI型がさらに進行して側頭部の薄毛も進行しはじめている。 |
AGAの治療は症状が進行すればするほど困難になり、元通りになる可能性も低くなってしまいます。毛根が完全に消失した状態になってしまうと、投薬治療だけでなくHARG治療での改善も不可能になってしまうため、少しでも早く治療を始めることが大切です。
FAGA(女性男性型脱毛症)
FAGAは外用薬と内服薬での治療が一般的です。ロゲインの外用薬と内服薬、パントガールなどを使用し、発毛・育毛を促進していきます。
特にミノキシジルを含むロゲインの外用薬は日本皮膚学会が発表している『女性型および女性型脱毛症診療ガイドライン』での推奨度がAとなっています。
男性用の薄毛治療薬の中には、フィナステリドを含むものなど女性が使用できない薬も多いため、医師と相談しながら適切な薬を選択しましょう。
ただし、外用薬や内服薬での治療で効果を実感するには、ある程度の時間がかかります。できるだけ早く薄毛や抜け毛を改善したい方は、HARG療法などの薬物注入による発毛治療がおすすめです。
なお、FAGAは症状によって以下の3つのタイプに分類されます。患者様一人ひとりの状態や進行の度合いに合わせ、複数の治療を併用することもあります。
タイプ | 症状 |
---|---|
ルードウィッグ型 | 頭頂部から薄毛がはじまるのが特徴で、徐々に分け目が広がる、地肌が透けて見えるなどの症状が現れる。進行度によってI型からIII型に分類される。 |
クリスマスツリー型 | 前頭部から頭頂部に向かって脱毛が進行する。 |
ハミルトン型 | AGAと似たようなパターンで進行する。前頭部と頭頂部の薄毛がM字やO字型に進行する。 |
分娩後脱毛症
分娩後脱毛症は産後半年ほど、長くても1年以内に自然と治っていきますが、FAGAに移行する可能性もあるため、きちんと治療を受けることが大切です。
ただし、授乳が終了するまでは発毛剤の処方ができないため、育毛剤やパントガールでの治療を行ったり頭皮環境を整えるためのアドバイスを行ったりします。
円形脱毛症
円形脱毛症には、ミノキシジルやステロイドの外用薬・内服薬での治療を行うのが一般的です。それらの治療で効果が得られない場合は、HARG療法を行う場合があります。
HARG療法はどのタイプの円形脱毛症でも効果が得られる可能性がありますが、再発しないよう外用薬の併用や頭皮ケア、生活習慣の改善などのアドバイスも行いながら最適な治療を行っていきます。
牽引性脱毛症
牽引性脱毛症は、頭皮が引っ張られることで発症するため、頭皮の負担を軽減することで改善できる可能性が高いです。
それでも症状の改善がみられない場合は、別の脱毛症が原因の可能性もあります。しかし自分で原因を判断することは難しいため、牽引性脱毛症の疑いがある場合は早めに専門クリニックを受診し、適切な診断と治療を受けるようにしましょう。
脂漏性脱毛症
脂漏性脱毛症はマラセチアというカビが原因で発症することが多いため、ステロイドや抗真菌薬で治療を行うのが一般的です。
そのほか、頭皮の状態や症状に合わせて抗生物質やビタミン、尿素などが配合されたローション、生活習慣や洗髪方法のアドバイスを行う場合もあります。
AGAを合併している場合は、脂漏性皮膚炎を治さなければ薬の効果を引き出すことができないため、必ず2つの治療を並行して行います。
ひこう性脱毛症
ひこう性脱毛症は一般的にステロイドの外用薬や内服薬を使用して頭皮の炎症を抑えたり、抗ヒスタミン薬でかゆみや炎症を鎮めたりなど、原因に合わせて治療を行います。
他の脱毛症を合併しているケースもあるため、生活習慣やヘアケアの方法についてのアドバイスも行いながら、症状の現れ方や程度によってさまざまな治療法を組み合わせて症状を改善していきます。