前回は、「シワなし健やか美女になるために(前半)」と題して、ワンランク上のスキンケアや生活面でのケアが、自然な「肌の生まれ変わり」にとって大切であることをお伝えしました。最終回になるこの章では、シワなし肌は単なる「美容」だけでなく、健康面、精神面においても良い影響を与えるということについてお伝えしたいと思います。
タバコ1本でシワ1本?
はっきり言いますが、タバコは健康だけじゃなく、美容にとっても大敵です。
喫煙することで、タバコの煙に含まれる一酸化炭素やニコチンなど有害物質を発生させ、毛細血管を収縮させてしまいます。すると血行が悪くなるため、肌に栄養が届きにくくなり、新陳代謝が低下していきます。
これだけでも相当、肌に悪影響を与えているとわかりますよね。
さらに体内で活性酸素が大量に発生しますから、有害物質を取り除く力が失われていき、細胞がどんどん酸化して老化が進行していくわけです。ハリや弾力のみなもとであるコラーゲン、エラスチンなども減少しますから、肌はしぼんでいく一方。
しかも、若々しさを保つ大事な栄養素、ビタミンCも喫煙によって大量に失われてしまうんです。
喫煙者特有のスモーカーズリンクルという言葉を聞いたことがありますか?
これはタバコを吸うとき、口輪筋を必要以上に動かしてしまうことでできる、口まわりのシワのこと。
それだけじゃなく、顔全体のちりめんジワ、目尻のシワ、ほうれい線。アゴや頬のたるみなども引き起こされるのです。
自分は吸わないから関係ない、というわけでもないのが、タバコの困ったところ。
タバコの煙そのものにコラーゲンの分解を促す働きがあるため、まわりの非喫煙者にも影響が及んでしまうんですよ。
身近な人の副流煙を吸っているためにシワができてしまうなんて、なんだか納得のいかない話でしょう?
自分はもちろん、親しい人にも禁煙を促すことが、シワのない未来の美肌の第一歩といえるかもしれませんね。
「心筋梗塞の発見より、シワがなくなる方が大事件」?
私が以前、院長を務めていた皮膚科形成外科のクリニックは、総合メディカルセンターの中に位置あります。
そこでは、会員制医療サービスを行っている部門もあり、充実した内容の人間ドックと、その結果を踏まえた健康危機管理のための健康指導などを行っています。
当然ながら、ここにお見えになる会員様はとても健康意識の高い方ばかり。
この部門のあるドクターが、こんなことをおっしゃっていました。
「ある女性会員様が、精度の高い人間ドックで、心筋梗塞の予兆を発見して、未然に防ぐことができたんです。
それはこの方の健康のためにとっても大きなことなのに、一番喜んでらっしゃっるのが美容なんです。
シワ一つ、シミ一つなくなったことの方が、大事件らしいんですよね……」
このドクターはとても経験豊富な内科医で、当初、総合医療サービスの中に「美容」が含まれることに、正直、少々の疑問さえ感じていたそうなんです。
けれど、ハッピーになることでの健康への好影響は、医師の目から見ても明らか。
抵抗力、免疫力、精神面のパワー。
健康危機管理のプロの目から見ても、シワなし肌になることは、ただの美容にはとどまらないのです。
40代以降の顔は、造作よりも清潔感!
「シワ1本で、人生さえも左右されることがある」
と言ったら、大げさだと思うでしょうか?
でもこれは、毎日何十人もの患者さんと接するうちに見つけた真実なんです。
たとえばある40代後半の男性のお話。
最初は頭髪の悩みで来院されたのですが、ついでのようにしてシワ取りの施術をしました。
男性だから、シワがあろうとなかろうと関係ない、と思いますか?
いえいえ、それが大きな変化につながるから面白いんですよ。
まず、仕事で出会う人たちから「お若いですね」と褒められることが増えた。そうするとご自分に自信も出てきて、身に着けるものに気を遣うようになる。それによってさらに若返って、自信もついて……。ついに、素敵な女性と出会ってご結婚してしまいました。
そんなウマい話があるかって?
でもみなさん、ちょっとまわりにいる40代後半の男性を思い出してみてください。なんとなく疲れた印象を与える人が、多くないでしょうか。
実はこの疲れた印象には、眉間や額のシワ、くすみやシミなどの肌色が大きく関係しているんです。
男性は女性と違ってお化粧をしませんから、よりダイレクトにそういった面が出やすい。でも逆に言うと、それさえケアしておけば、洗練された身ぎれいな感じを演出しやすいってことなんです。
顔の造作やメイクが重要だった20代や30代とはうってかわって、男性も女性も40代を超えると、“清潔感″が大事になると私は思います。
この清潔感って、意外に厄介。
高級な服や小物を身に着けているからといって出せるものじゃないから。
ぐぐっと眉間にしわを寄せて、
「私、仕事のことも家庭のことも、すっごく頑張ってます!」
って感じを出すのも。
「もういい歳ですもの、シワやシミになんか、いちいちかまってられないわよ~」と、スキンケアをいい加減にしてしまうのも。
どちらも、清潔感からほど遠くなってしまう行為じゃないかと、私は思います。
もちろん、美容医療の力を借りれば清潔感が出る、ということではまったくありません。
でも、シワや肌の質感が、見た目を大きく左右するのも、また事実。
たかがシワ1本。されどシワ1本。
毎日のスキンケアを少し丁寧にするだけで、人が感じるあなたの印象はガラッと変わるかもしれませんよ。
「キレイな顔で棺桶に入りたい」それが美容皮膚科のゴール
クリニックに初めて来院された、80歳の女性が言いました。
「私はキレイな顔で棺桶に入りたいの」と。
別に若返りたいわけじゃないし、美容かぶれなわけでもない。
でもお葬式に来てくれた人たちに、
「素敵な死に顔だったね」
といわれたいから、体が動くうちは美容皮膚科に行こうと思っている、と。
これこそが、美容皮膚科の使命なのではないかと、
深く感銘を受けた瞬間でした。
確かに、亡くなるときには年齢もスタイルも関係ないです。
でも素敵な顔でお別れができる人は、
これまでの人生も幸せだったのではないかと、私も思います。
いつそうなっても、最高の顔でお別れができるよう、少しでもお手伝いできれば。
その女性は90歳近くなったいまでもとてもお元気で、
いまもこちらのクリニックに定期的に通ってくださっています。
きっと、最後のお別れのときも、美しいお顔を見せてくれることでしょう。
おわりに
シワと健康について、そしてシワと美容について書いてきましたが、
全体を通してお伝えしたかったのは、
「シワと女性の幸せ」
についてなんです。
患者さまの満足した笑顔が私にとっては何よりのご褒美ですが、
「シワが全部なくなった!」というのが私のゴールではありません。
シワが1本もないツルッツルの顔にするのではなく、
自然に見える絶妙な施術で、溌剌とした幸せな顔になっていただくこと。
それによって、モノトーンの服しか着なかった方が、
明るく楽しそうな笑顔を見せるようになり、
ピンとした姿勢で来院されるようになること。
これが皮膚科医である私の目標であり、
まさに理想のかかりつけ医なのです。
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このコラムを読んでくださった皆さまが、損するシワとさよならして、
素敵なシワと上手に付き合って行けますように。
それには、信頼できる医師との出会いが欠かせません。
妥協することなく、不安も希望もすべて話せる
皮膚科医を探してほしいと思います。